クォーク・ハドロン物理学入門

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臨時別冊・数理科学2013年8月

クォーク・ハドロン物理学入門

真空の南部理論を基礎として
定価:
2,462
(本体:2,238円+税)
難易度:上級

発行日:2013年9月10日

発行:サイエンス社

ISBN:4910054700831

サイズ:並製B5

ページ数:168ページ

在庫:品切れ

内容詳細

物理を学ぶ学部3年生後半から修士の学生を想定し,できるだけ初等的に解説することを目指した.なるべく予備知識を仮定しないで済むよう,場の理論に関わる基本事項についても説明を加え,真空の場の理論,有限温度の場の理論,および非相対論的多体系の量子論への入門的役割を果たすことも期待される一冊となっている.

目次

第1章 序:クォーク・ハドロン多体系の物理学概観
  1.1 原子の有核構造
  1.2 原子核を結合させている力と湯川理論
  1.3 ハドロン共鳴の発見とクォーク
  1.4 クォークの理論の発展:量子色力学
  1.5 物質と真空の相互規定性
  1.6 南部の「対称性の自発的破れ」の理論:「真空」と物質の新しい見方

第2章 場の解析力学と量子場の変換則
  2.1 変分原理とオイラー-ラグランジュ方程式
  2.2 自由場の場合
  2.3 変換と保存カレント
  2.4 ゲルマン-レヴィの方法
  2.5 スカラー場の簡単な例
  2.6 ディラック場の基本事項
  2.7 カイラル対称性

第3章 QCDの基本的性質
  3.1 ラグランジアン:漸近自由性と「閉じ込め」
  3.2 カイラル対称性
  3.3 カイラル対称性の自発的破れと南部-ゴールドストーンボソン
  3.4 軸性異常

第4章 軸性異常項を含む線型シグマ模型
  4.1 SU(3)_L○SU(3)_R-線型シグマ模型
  4.2 真空の決定:古典近似
  4.3 中間子スペクトラム
  4.4 部分的に保存される軸性カレント
  4.5 スカラー中間子のスペクトル

第5章 QCDのカイラル有効模型としてのNJL模型
  5.1 NJL模型の基礎
  5.2 2フレーバーの場合
  5.3 軸性異常項を含む3フレーバーの場合
  5.4 η-η'系のスペクトルと混合角
  5.5 重粒子に関係する興味ある物理量:カイラルクォーク模型
  5.6 スカラー中間子をめぐって
  5.7 6クォーク相互作用とHダイバリオン

第6章 有限温度・密度の場合
  6.1 はじめに
  6.2 有限温度の場の理論入門
  6.3 相図の決定:熱力学ポテンシャルとギャップ方程式
  6.4 ファインマン-ヘルマンの定理を用いた議論
  6.5 有限バリオン密度の場合
  6.6 ハドロニックモード
  6.7 有限温度・密度での低エネルギー定理
  6.8 QCD相転移のソフトモード:クォーク・グルーオンプラズマ中のハドロン励起

第7章 クォーク数感受率と密度ゆらぎ
  7.1 有限密度・有限温度でのカイラル相転移と密度ゆらぎ
  7.2 感受率と相関関数
  7.3 クォーク数感受率
  7.4 自由クォーク気体の場合
  7.5 カイラル相転移がある場合:NJL模型による考察
  7.6 まとめ

おわりに

付録A 非一様物質への相転移:核物質中のπ中間子凝縮を例題として
  A.1 はじめに
  A.2 2核子系の状態分類
  A.3 パイ中間子交換力と核物理学の基礎
  A.4 パイ中間子凝縮とテンソル力
  A.5 模型ハミルトニアン
  A.6 π^0凝縮の臨界条件
  A.7 パイ凝縮の前駆的集団モードとそのソフト化
  A.8 現実的重粒子間力を用いることの必要性

参考文献

索引

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