〈新しい市場社会〉の構想

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ライブラリ社会科学のヴィジョン  1

〈新しい市場社会〉の構想

信頼と公正の経済社会像
定価:
2,420
(本体:2,200円+税)

発行日:2002年6月25日

発行:新世社

ISBN:978-4-88384-042-7

サイズ:並製四六

ページ数:352ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

21世紀を迎え,さらに混迷をきわめる現代市場社会.その変動の本質を見通し,市場社会の将来像を模索した刺激的論考.文化の重要性,社会的信頼,共同体と慣習,平等と自由の均衡,公正さなどをキーワードとする,文明論,組織論,経済学,社会学,政治哲学などのさまざまな分野からの提言.

目次

第 I 部 グローバリズムの帰結
第1章 グローバル市場社会の<文化的矛盾>(佐伯 啓思)
  1 グローバル市場の問題はどこにあるのか
  2 西欧近代の帰結としてのグローバリズム
  3 グローバル市場とポランニー理論
  4 グローバリズムの文化的次元
  5 結論 ―― グローバリズムとニヒリズム

第2章 グローバリゼーションの帰結,あるいは「新しい近世」?(山下 範久)
     ポランニーとブローデルによる市場の歴史社会学
  1 ポランニー型の反グローバリズム論
  2 ブローデルの市場論の射程
  3 新しい近世?

第 II 部 市場と「信頼」
第3章 消費と信頼(松原 隆一郎)
  1 二十世紀の経済と経済学
  2 「自由市場 対 景気対策」という二分法が意味するもの
  3 九〇年代日本経済における異変 ―― 投資の不調と消費の不安定化
  4 制度と消費
  5 消費不況のゆくえ

第4章 セーフティネットの罠(宮本 光晴)
     市場の補間か社会の自己防衛か
  1 はじめに
  2 なぜセーフティネットか
  3 市場型セーフティネット
  4 社会の自己防衛
  5 福祉資本主義
  6 社会の制度とセーフティネット
  7 セーフティネットと社会の制度

第5章 企業間取引と信頼(若林 直樹)
     脱系列化の「新しい経済社会学」からの分析
  1 脱系列化における企業間のネットワークと信頼の変動
  2 組織間ネットワークに基づく市場取引の「信頼による統治」
  3 組織間ネットワークにおける経済規範の「埋め込み」と信頼
  4 系列における互恵的信頼と「過剰な埋め込み」
  5 ネットワーク組織を支える新たな「信頼による統治」

第 III 部 市場社会のゆらぎ
第6章 「豊かさ」の中の不確実性(柴山 桂太)
     「リスク社会」論の批判的検討
  1 はじめに ―― 「稀少性」から「リスク」へ?
  2 「産業社会」から「リスク社会」へ
  3 「ポスト福祉国家」の青写真
  4 シティズンシップの位置
  5 「再帰的近代」仮説の検証

第7章 平等主義と責任(井上 彰)
     資源平等論から制度的平等論へ
  1 はじめに
  2 資源の平等 ―― リベラリズムの平等論
  3 アクセスの平等 ―― 分析的マルクス主義の平等論
  4 小括
  5 制度的平等論 ―― スキャンロンの責任論
  6 制度的平等論への三つの批判
  7 最後に

おわりに

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