数理科学 2024年9月号

2006年度 日本数学会出版賞受賞
科学の最前線を紹介する月刊誌

自然科学と社会科学はいまどこまで研究されているか,つねに科学の最前線を明らかにし,大学・企業で注目を浴びている雑誌です.
毎月20日発売 B5判 約80ページ 定価(本体:954円+税)

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数理科学 2024年9月号 No.735

位相的K理論をめぐって

数理科学を横断するその技法に迫る
定価:
1,049
(本体:954円+税)

発行月:2024年9月

JAN:4910054690941

在庫:在庫あり

内容詳細

グロタンディークやアティヤとヒルツェブルフらにより創始された《K理論》は,その理論に内在する豊かな数理構造により多種多様な分野に適用され,かつ重要な成果を収めており,今日では数理物理の世界においてもそのキーワードが散見されます.しかしながら,K理論は抽象的で難解であり,初学者は何から勉強すればよいのかわからないという事態も少なくないかと思います.本特集では,「K理論の難しさ」のギャップを埋めることを目指し,初学者の視座に立ちながらK理論のモチベーションや問題意識,幅広い応用から技術的な手法などを取り上げていきます.

表紙CGコメント

今回の表紙ではボーイ曲面をモデリングしています.ボーイ曲面は 2 次元実射影空間の 3 次元実ユークリッド空間へのはめ込みであり,Apéry によって与えられた定義式を使って構成しました.(巴山竜来)

目次

特集

  • 巻頭言
    松尾信一郎
  • 位相的K理論の基礎と古典的問題への応用
    岸本大祐
  • K理論と安定ホモトピー論
    玉木 大
  • Clifford代数とKaroubiのK理論
    五味清紀
  • 格子上のDirac作用素の指数
    古田幹雄
  • Bott周期性と族の指数
    松尾信一郎
  • 同変K理論とSeiberg–Witten理論
    今野北斗
  • 微分K理論
    山下真由子
  • トポロジカル絶縁体とK理論
    ~ Atiyah‒Hirzebruchスペクトル系列の応用例 ~
    塩崎 謙

コラム

  • 物理学徒のためのK理論の勉強の仕方
    青木匠門
  • 数学徒のためのK理論の勉強の仕方
    森田陽介

連載

  • Lappo-Danilevskyを読む 1
    ~ 導入 ~
    原岡喜重
  • 計算機科学の数学 16
    ~ ホーア論理(2) ~
    龍田 真

サポート情報

次号の予告

数理科学 2024年10月号 No.736

生成AIのしくみと数理

新しい知能はどこまでわかっているのか
ChatGPTやStable Diffusionを例に,生成AIと呼ばれる人工知能の技術がここ数年のうちに急速な発展を見せ,科学分野のみならず社会にも大きな影響を与えています.しかしながら,その理論面には謎も多く,数理的な理解のための研究が現在盛んに進められています.本特集では,さまざまな生成AIのモデルの紹介をはじめ,そのしくみや数理的研究の現状をまとめ,さらに今後の課題や展望についても迫っていきます.

<特集構成>
巻頭言/生成AIの登場と発展/生成AIモデルの基礎 ― VAE, GAN, フローベース/エネルギーベースモデル ― Boltzmann, Hopfield/拡散モデルの理論/拡散モデルと非平衡熱力学との接点/大規模言語モデル/LLMの理論的理解/生成AIと倫理・法・社会

関連雑誌

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