測度距離空間の幾何学への招待

SGCライブラリ

近年,特に大学理工系の大学院の充実はめざましいものがあります.しかしながら学部上級課程や大学院課程の学術的なテキスト・参考書はきわめて少ないのが現状です.
本ライブラリは,これらの状況を踏まえて,数理科学諸分野および関連する領域から現代的なテーマやトピックスを順次とりあげ,時代の要請に応える魅力的なライブラリを構築しようとするものです.

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測度距離空間の幾何学への招待

高次元および無限次元空間へのアプローチ
定価:
3,080
(本体:2,800円+税)
難易度:上級

発行日:2024年11月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1618-7

サイズ:並製B5

ページ数:240ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

グロモフは測度の集中現象のアイディアを元に測度距離空間の幾何学的な収束理論を展開した.これは従来の(測度付き)グロモフ-ハウスドルフ収束とは異なり,次元が無限大へ発散するような空間列を調べるのに有効であり,無限次元空間の研究への幾何学的なアプローチを与える.本書では,このグロモフの理論を中心に,測度距離空間の幾何学を基礎から最先端に近いところまでを解説した.

目次

第1章 距離と測度
  1.1 距離
  1.2 測度
  1.3 測度の収束
  1.4 カイファン距離と測度収束
  1.5 ノート

第2章 距離幾何学
  2.1 ネット,被覆数,キャパシティ
  2.2 ハウスドルフ距離
  2.3 グロモフ-ハウスドルフ距離
  2.4 グロモフのプレコンパクト性定理
  2.5 距離行列集合
  2.6 弱ハウスドルフ収束
  2.7 内部距離空間と測地距離空間
  2.8 ノート

第3章 測度の集中現象
  3.1 球面の観測
  3.2 mm同型とリップシッツ順序
  3.3 オブザーバブル直径
  3.4 セパレーション距離
  3.5 集中関数
  3.6 オブザーバブル直径の比較定理
  3.7 ラプラシアンのスペクトルとセパレーション距離
  3.8 l1積空間のオブザーバブル直径
  3.9 ノート

第4章 ボックス距離
  4.1 ボックス距離の定義と基本的性質
  4.2 合併補題
  4.3 有限mm空間による近似
  4.4 リップシッツ順序とボックス収束
  4.5 有限次元近似
  4.6 無限積空間へ収束,その1
  4.7 パラメーターを用いたボックス距離の特徴付け
  4.8 ノート

第5章 オブザーバブル距離とメジャーメント
  5.1 オブザーバブル距離の定義と基本的性質
  5.2 メジャーメントとオブザーバブル距離の非退化性
  5.3 メジャーメントの収束
  5.4 (N,R)-メジャーメント
  5.5 ノート

第6章 ピラミッド
  6.1 ピラミッドの弱収束
  6.2 ピラミッドの空間の距離構造
  6.3 漸近的集中
  6.4 無限積空間への収束,その2
  6.5 球面とガウス空間
  6.6 ノート

第7章 極限公式とその応用
  7.1 セパレーション距離の極限公式
  7.2 オブザーバブル直径の極限公式
  7.3 lp積空間のオブザーバブル直径
  7.4 N-レビ族
  7.5 消散現象
  7.6 相転移性質
  7.7 ノート

第8章 曲率と集中
  8.1 集中に対するファイブレーション定理
  8.2 ワッサーシュタイン距離と曲率次元条件
  8.3 曲率次元条件の安定性
  8.4 リッチ曲率とラプラシアンの固有値
  8.5 ノート

参考文献
索引

サポート情報

次号の予告

書影

圏論的ホモトピー論への誘い

空間の代数的モデルへの探求
代数的モデルとは,空間に付随して現れる不変量の「一歩手前」の代数的対象のことであり,これらが作る圏上でホモトピー論を展開するための理論として,キレンにより創始されたモデル圏やその亜種のバウエスの(コ)ファイブレーションがある.本書では,このような抽象的なホモトピー論を詳細に解説し,有理ホモトピー論,ストリングトポロジー,そしてディフェオロジーへの応用に繋げる.

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