新装版 電磁気学を考える

 

新装版 電磁気学を考える

定価:
5,280
(本体:4,800円+税)
難易度:上級

発行日:2025年2月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1628-6

サイズ:並製A5

ページ数:440ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

難解といわれる電磁気学も“運動量とエネルギーの保存”を基本法則として再構成すれば直観的に理解しやすくなる―たとえば,電磁誘導や電磁波の現象も初等的に理解される.理工系の学生・研究者・技術者必読の「今井電磁気学」,堂々の復刊.


流体力学の泰斗が,電磁気学におけるいくつかの「納得のゆかない説明」を,流体力学的な発想をヒントに「納得のゆく説明」へと再構成した名著です.

  • 電磁気学はどう教えられているのか
    1. 歴史的発展の線に沿って,クーロンの法則から出発して,静電場,静磁場,定常電流,電流と静磁場,電磁誘導と進み,Maxwell の方程式に到達して電磁波が説明される.
    2. 専門の電磁気学の場合は,しばしば順序を逆にして,Maxwell の方程式を基礎として理論を展開する.

  • なぜ電磁気学が難しく感じられてしまうのか?
    1. 静電気,電磁誘導,電気回路,…などそれぞれの分野については取り扱いも筋が通っているように見えるが,電磁気学という一つのまとまった体系の中でどのような位置をしめるのかがはっきりしない.
    2. 初めて電磁気学を勉強する学生は,これら各分野が雑然とした集積のように感じられてしまうし,講義では各分野を細切れ的に追いかけるので‘むずかしい’と感じてしまう.
    3. Maxwell の方程式という美しい偏微分方程式を用いないと電磁気学が解らないという思い込みが,初学者に電磁気学は難解であるとの印象を与えるのではないか.
……Maxwell の方程式を知らなくても電磁現象の本質は理解できる.Faraday の直観的な力線のイメージに立ち戻れば,学生にも,教える側にも,電磁気学は扱いやすくなるのではないか.

目次

1 序説
  1-1 はじめに
  1-2 電磁気学の構成
  1-3 Maxwellの方程式
  1-4 Maxwellの電磁場理論の再構成
  1-5 電磁気学の構成 ― 新旧の比較
2 真空中の静電場
  2-1 はじめに
  2-2 静電場の基本法則
  2-3 基本法則の応用例
  2-4 電荷に働く電場の力
  2-5 静電ポテンシャル
  2-6 電荷に働く力
  2-7 自己力と自己モーメント
  2-8 帯電体に働く力
  2-9 静電場のエネルギー
  2-10 静電ポテンシャルの意味づけ
  2-11 静電気学の再構成
  2-12 運動量の保存
  2-13 エネルギーの保存
  2-14 基本法則のまとめ
  2-15 電荷の役割
  2-16 力線曲率の定理
  2-17 一意性
  2-18 導体を含む静電場
  2-19 導体系のエネルギー
  2-20 点電荷の系
  2-21 容量係数,電位係数
  2-22 定理の証明
  2-23 まとめ
3 電磁場理論の再構成
  3-1 はじめに
  3-2 電磁場の基本法則
  3-3 電磁運動量の消滅
  3-4 電磁エネルギーの消滅
  3-5 Maxwellの方程式を導く
  3-6 X=0,Y=0の証明
  3-7 電磁場の基礎方程式
  3-8 基礎方程式の積分形
  3-9 点電荷と線電流に働く力
  3-10 まとめ
4 電磁場の直観的イメージ
  4-1 はじめに
  4-2 電磁場の直観的イメージ ― 電磁力線網
  4-3 電磁現象の全体像
  4-4 Faradayの電磁誘導の法則
  4-5 Ampereの法則
  4-6 Biot-Savartの法則
  4-7 平面電荷に働く力
  4-8 平面電流に働く力
  4-9 等速運動する帯電体の自己力と自己モーメント
  4-10 一様電磁場中を等速運動する帯電体に働く力
  4-11 Lorentz力
  4-12 Ampereの力
  4-13 電磁波
  4-14 帯電体と磁石の運動によって誘導される電磁場
  4-15 まとめ
5 物質中の電磁場 ― 基本的な物理量
  5-1 はじめに
  5-2 意味のある平均値
  5-3 横の平均
  5-4 縦の平均
  5-5 空間的な平均
  5-6 物質中の電磁場の積分法則
  5-7 物質中の電磁場に対するMaxwellの方程式
  5-8 これまでのまとめ
  5-9 電磁場の力学的性質
  5-10 電磁エネルギー
  5-11 電磁運動量
  5-12 Poyntingベクトル
  5-13 Maxwell応力
  5-14 不連続面での条件
  5-15 電気分極と磁気分極
  5-16 簡単な形の誘電体と磁性体 ― 針と板
  5-17 誘電率と透磁率
  5-18 まとめ
6 物質中の電磁気学
  6-1 はじめに
  6-2 物質中の電磁場の理論構成
  6-3 不連続面に働く電磁力
  6-4 一様な誘電率と透磁率をもつ物質に働く電磁力
  6-5 静電気学
  6-6 静磁気学
  6-7 分極電(磁)荷と磁化電流の面密度
  6-8 分極電(磁)荷や磁化電流に電磁力は働くか?
  6-9 電磁運動量の消滅
  6-10 全運動量の保存
  6-11 応用例
  6-12 電磁エネルギーの消滅
  6-13 全エネルギーの保存
  6-14 熱力学的関係
  6-15 まとめ
7 電磁気の単位
  7-1 はじめに
  7-2 電場に関する物理量の次元
  7-3 磁場に関する物理量の次元
  7-4 電荷と磁荷は正準共役である
  7-5 電磁気の単位
  7-6 VAMS単位系 ― 磁流の概念
  7-7 電磁気の諸量の単位
  7-8 電磁場の強さの感覚的な目安
  7-9 QQm=hの関係
  7-10 MKSA単位系とGauss単位系の関係
  7-11 まとめ
8 相対性理論入門
  8-1 はじめに
  8-2 相対性原理
  8-3 電磁場の変換法則
  8-4 Lorentz短縮,時計のおくれ
  8-5 Lorentz変換
  8-6 Lorentz変換の導き方
  8-7 物質中の電磁場のLorentz変換
  8-8 電気分極P,磁気分極Mの変換
  8-9 電荷密度ρ,電流密度Jの変換
  8-10 電磁場のLorentz変換
  8-11 相対性理論入門
  8-12 まとめ
9 運動物体の電磁気学
  9-1 はじめに
  9-2 非相対論的近似
  9-3 Ohmの法則
  9-4 電磁的に線形の物質
  9-5 電磁誘導
  9-6 磁場中を運動する導体は電池である
  9-7 単極誘導
  9-8 磁力線の速度とは?
  9-9 まとめ
10 電気回路
  10-1 はじめに
  10-2 平行平板コンデンサー
  10-3 コンデンサーとコイルの回路
  10-4 電源と起電力
  10-5 回路上の電位
  10-6 Kirchhoffの法則
  10-7 回路の方程式
  10-8 磁気回路
  10-9 変動する磁気回路
  10-10 まとめ
11 孤立物体に働く電磁力
  11-1 はじめに
  11-2 物体に働く電磁力
  11-3 一様媒質中の物体に働く静電力
  11-4 一様媒質中の物体に働く静磁力
  11-5 物体に働く電磁力のモーメント
  11-6 電磁力と電磁力モーメントの公式
  11-7 任意の外部電磁場による力とモーメント
  11-8 静電場
  11-9 静磁場
  11-10 電流モーメントと磁気モーメント
  11-11 一様媒質中の孤立物体
  11-12 磁針
  11-13 電流回路の磁気モーメント
  11-14 定常電磁場と孤立物体の相互作用
  11-15 一様に帯磁した球
  11-16 まとめ
12 物質中の電磁場 ― 誘電流体と磁性流体
  12-1 はじめに
  12-2 応力の表わし方
  12-3 電磁角運動量の消滅
  12-4 全角運動量の保存
  12-5 運動方程式と角運動量方程式
  12-6 連続物体のエネルギー方程式
  12-7 流体のエネルギー方程式
  12-8 誘電流体と磁性流体
  12-9 Bernoulliの定理の一般化
  12-10 応用例
  12-11 まとめ
13 物質中の電磁場 ― 固体の応力
  13-1 はじめに
  13-2 物質についての保存法則
  13-3 電磁場中の固体の熱力学的状態
  13-4 応力に対する電磁場の影響
  13-5 電磁的に線形の弾性体
  13-6 体積膨張度と平均圧力
  13-7 物体に働く電磁力 ― 在来の理論との比較
  13-8 まとめ
14 電磁気学のパラドックス
  14-1 はじめに
  14-2 Feynmanのパラドックス
  14-3 霜田のパラドックス(1)
  14-4 霜田のパラドックス(2)
  14-5 静電磁場の電磁運動量と電磁角運動量
  14-6 軸対称磁場のベクトル・ポテンシャル
  14-7 点電荷と点磁荷による電磁運動量と電磁角運動量
  14-8 Feynmanのパラドックス再論
  14-9 霜田のパラドックス(2)再論
  14-10 Trouton-Nobleのパラドックス
  14-11 電子の剛体球モデル,Poincare応力
  14-12 まとめ
参考書
あとがき
索引

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