行政法I 行政法総論

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法学叢書  2-I

法学叢書

行政法I 行政法総論

定価:
5,280
(本体:4,800円+税)
難易度:中級

発行日:2023年10月10日

発行:新世社

ISBN:978-4-88384-375-6

サイズ:並製A5

ページ数:864ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

行政法が「わかる」とはどういうことなのか.個々の事例や個別法の仕組みの解説のみならず,それらを支えるべき法論理の構造を分析して,法制度や判例のあり方に明快で合理的な法律構成を与えるという実定法学の問題意識に立ち,概念の定義から出発し,論理のステップを紙幅を費やして丁寧に説き明かした画期的基本書.行政法を学び始めた読者が司法試験の論文式問題に対応できるレベルまで到達できることを目指し,予備試験・司法試験問題と解説との対応も明記した.

目次

第1章 本書で何を,どうやって学ぶのか
  1.1 設例
  1.2 行政法の対象
  1.3 行政法の体系と本書の守備範囲
  1.4 本書の構成と読み方
  1.5 設例の検討

第1部 基礎編:行政法を知る
A 行政作用法の前提的知識
第2章 行政の主体と機関
  2.1 法人と機関
  2.2 行政主体
  2.3 行政機関
第3章 行政法の法源と行政内部規定
  3.1 法源と内部規定
  3.2 法源
  3.3 行政内部規定

B 行政作用としての法律関係の形成・確定
第4章 要件と効果
  4.1 法律関係の形成・確定(法効果の発生)の仕組み
  4.2 行政作用による法律関係の変動
第5章 法律関係の形成・確定の法的仕組み
  5.1 序説
  5.2 第1類型:事実行為の規制
  5.3 第2類型:法的地位・法的能力の規律
  5.4 第3類型:公益事業の規制
  5.5 第4類型:金銭債権・債務に関する仕組み

C 行政処分とその過程
第6章 法効果発生要件としての行政処分
  6.1 行政処分の定義
  6.2 行政処分の見分け方
  6.3 行政処分を見つけることの意味 ― 法的統制の定型化
  6.4 瑕疵ある行政処分の効力
  6.5 行政処分の成立・発効・失効
  6.6 行政処分の職権取消しと撤回
  6.7 行政処分の附款
第7章 法の解釈・適用と行政裁量
  7.1 序説
  7.2 法の解釈・適用
  7.3 行政裁量
  7.4 内部基準
第8章 行政手続
  8.1 行政手続の意義
  8.2 行政処分手続(その1) ― 序説
  8.3 行政処分手続(その2) ― 不利益処分
  8.4 行政処分手続(その3) ― 申請に対する処分の手続
  8.5 処分等の求め
  8.6 届出手続
  8.7 命令等制定手続(意見公募手続)
  8.8 行政手続法の適用除外
  8.9 行政手続と憲法

D 行政作用の実効性
第9章 強制
  9.1 法律関係の観念的変動と事実状態の物理的変更
  9.2 行政上の強制執行 ― 序説
  9.3 行政上の強制執行(その1) ― 代執行
  9.4 行政上の強制執行(その2) ― 直接強制
  9.5 行政上の強制執行(その3) ― 間接強制(執行罰)
  9.6 行政上の強制執行(その4) ― 強制徴収
  9.7 行政上の強制執行の法律の根拠
  9.8 行政上の義務の民事手続による履行強制(司法的執行)の可否
  9.9 即時強制
第10章 制裁
  10.1 行政上の義務違反に対する制裁
  10.2 行政刑罰
  10.3 金銭的措置
  10.4 行政制裁と刑罰の併科(二重処罰)
  10.5 制裁的公表
第11章 行政調査
  11.1 行政調査の概念
  11.2 行政調査の分類
  11.3 法律の根拠の要否
  11.4 行政調査の要件・範囲・手続
  11.5 憲法上の刑事手続の保障
  11.6 任意調査の限界
  11.7 行政調査の瑕疵の効果

E 任意的手法
第12章 行政指導と協定
  12.1 任意的手法としての行政指導と合意
  12.2 行政指導
  12.3 協定

F 立法と行政
第13章 法律による行政の原理
  13.1 法律による行政の原理とは
  13.2 法律の法規創造力と法規の概念
  13.3 法律の優位
  13.4 法律の留保

第2部 実践編:行政法を使う
第14章 行政活動をめぐる紛争類型
  14.1 行政活動をめぐる紛争とは何か
  14.2 紛争解決の二つの問題
  14.3 本案の問題の構造
  14.4 第2部の構成
  14.5 救済方法

G 基本型:行政処分の違法性
第15章 個別法の解釈と適用 ― 実体的違法事由(その1)
  15.1 行政処分の違法性
  15.2 要件に関する違法性の構造
  15.3 処分要件の解釈の誤り ― 他事考慮
  15.4 狭義の当てはめの誤り
  15.5 附款の違法性
第16章 裁量権の踰越・濫用 ― 実体的違法事由(その2)
  16.1 序説
  16.2 行政裁量の有無
  16.3 行政裁量の司法審査
  16.4 裁量基準と個別事情の考慮
第17章 行政手続の瑕疵 ― 手続的違法事由
  17.1 序説
  17.2 手続の瑕疵と処分の違法性
  17.3 意見陳述手続(聴聞など)
  17.4 諮問手続
  17.5 基準の設定・公表
  17.6 理由の提示
  17.7 内部手続

H 複合型:一連の過程の中で見つける違法性
第18章 行政計画と処分の違法性
  18.1 行政計画
  18.2 都市計画の2類型
  18.3 行政計画と行政処分 ― 都市計画以外の例
第19章 行政調査と処分の違法性
  19.1 序説
  19.2 調査の結果に基づいて行われる処分
  19.3 調査服従義務違反を理由とする不利益処分
第20章 行政機関の矛盾挙動をめぐる紛争 ― 信義則
  20.1 序説
  20.2 施策変更と信頼保護原則
  20.3 課税と信頼保護原則
  20.4 時効の主張とクリーン・ハンズ原則
第21章 行政処分の職権取消し・撤回の違法性
  21.1 序説
  21.2 職権取消しの違法性
  21.3 撤回の違法性
  21.4 職権取消し・撤回の「制限」論について
第22章 個別法上の権限外の規制手法をめぐる紛争
  22.1 序説
  22.2 行政指導
  22.3 協定
  22.4 事業者に対する狙い撃ち的な対応
  22.5 給水拒否
  22.6 制裁的公表

I 立法行為の違憲性・違法性
第23章 委任立法
  23.1 概観
  23.2 授権法の合憲性
  23.3 委任命令の適法性
  23.4 委任立法の限界と裁判による救済
第24章 条例
  24.1 委任条例と自主条例
  24.2 条例制定権の限界

J 違法な行政処分の取扱い
第25章 違法な行政処分の効力の維持
  25.1 問題の所在
  25.2 瑕疵の治癒
  25.3 違法処分の転換,処分理由の差替え
第26章 行政処分の違法性の主張方法
  26.1 問題の所在
  26.2 〈行政処分は取り消されるまで有効〉の意味
  26.3 行政処分の無効
  26.4 違法性の承継
  26.5 刑事訴訟における行政処分の効力・違法性の審理
  26.6 国家賠償請求訴訟における行政処分の違法性の主張

第3部 基礎編補論:行政法の知識を拡げる
K 行政資源の管理とサービス提供
第27章 公物法
  27.1 序説
  27.2 公物法の対象
  27.3 公物法の法源
  27.4 公物管理権と公物管理者
  27.5 公物の成立と消滅
  27.6 公物上の私権行使の制限
  27.7 公物の時効取得
  27.8 公物管理者による妨害排除請求
  27.9 公物の使用関係と私人の地位
  27.10 許可使用の問題
第28章 財産管理・民間委託・サービス提供と契約
  28.1 行政法における契約
  28.2 行政主体による財産の取得と管理
  28.3 行政事務の委託
  28.4 公益的サービスの提供
第29章 行政情報法
  29.1 行政情報法とは
  29.2 情報公開
  29.3 個人情報保護
  29.4 公文書管理
  29.5 行政上の秘密の保護
  29.6 公表

L 特殊な解釈問題
第30章 公法と私法
  30.1 序説
  30.2 個別法解釈と公法私法二元論
  30.3 私法関係への公法の適用
第31章 法令の効力と適用範囲
  31.1 序説
  31.2 法令の効力の発生と消滅
  31.3 法令の時間的適用範囲
  31.4 法令の場所的適用範囲(その1) ― 法律の域外適用
  31.5 法令の場所的適用範囲(その2) ― 条例の域外適用
  31.6 法令の人的適用範囲

M 国と地方公共団体
第32章 地方自治法上の関与
  32.1 序説
  32.2 関与の意義
  32.3 法定主義
  32.4 関与の基本原則
  32.5 地方自治法を根拠とする関与
  32.6 公正・透明の原則
  32.7 係争処理

司法試験・予備試験問題参照部分索引
事項索引
判例索引

サポート情報

広告・書評

■「法学セミナー 2024年4月号 No.831」の書評に本書紹介記事が掲載されました.
「法科大学院時代にふさわしい本格的教科書の登場」評者:関西学院大学名誉教授 曽和俊文

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