行列解析とその応用

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近年,特に大学理工系の大学院の充実はめざましいものがあります.しかしながら学部上級課程や大学院課程の学術的なテキスト・参考書はきわめて少ないのが現状です.
本ライブラリは,これらの状況を踏まえて,数理科学諸分野および関連する領域から現代的なテーマやトピックスを順次とりあげ,時代の要請に応える魅力的なライブラリを構築しようとするものです.

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行列解析とその応用

関数解析の考え方と行列の様々な不等式
定価:
3,190
(本体:2,900円+税)
難易度:上級

発行日:2025年5月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1637-8

サイズ:並製B5

ページ数:240ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

行列における関数解析,または,関数解析的方法による行列論と呼ぶことができる行列解析.近年研究が盛んである量子情報分野では,その方法と知識が必須のものとなっている.本書では,行列に関する不等式または不等式的な関係を中心に行列解析の解説を行う.「行列解析から学ぶ量子情報の数理」(SGCライブラリ183,2023年刊行)の姉妹書.

目次

第1章 行列の基本事項
  1.1 行列の基礎
  1.2 行列のトレースとノルム
  1.3 直和とテンソル積
  1.4 反対称テンソル積
  1.5 行列関数の微分
  1.6 正写像と完全正写像
  1.7 文献ノート

第2章 作用素単調関数と作用素凸関数
  2.1 定義と例
  2.2 LöwnerとKrausの理論
  2.3 Hansen-Pedersenの定理
  2.4 いろいろな積分表示
  2.5 文献ノート

第3章 作用素平均と作用素パースペクティブ
  3.1 Kubo-Andoの作用素平均
  3.2 作用素パースペクティブ
  3.3 多変数の幾何平均
  3.4 多変数のベキ平均
  3.5 文献ノート

第4章 行列のマジョリゼーションと対称ノルム
  4.1 ベクトルのマジョリゼーション
  4.2 行列のマジョリゼーション(その1)
  4.3 行列の対称ノルム
  4.4 行列のマジョリゼーション(その2)
  4.5 ベクトルのマジョリゼーションの発展形
  4.6 文献ノート

第5章 行列の対数マジョリゼーション
  5.1 Golden-Thompson型とその補完型の対数マジョリゼーション
  5.2 その他の対数マジョリゼーション
  5.3 積分形の対数マジョリゼーション
  5.4 文献ノート

第6章 行列のトレース関数
  6.1 Liebの凹性定理とAndoの凸性定理
  6.2 拡張Lieb型トレース関数の凹凸性
  6.3 トレース不等式におけるEpsteinの方法
  6.4 Ando-Hiai-Okuboのトレース不等式
  6.5 Golden-Thompson型とその補完型のトレース不等式の等号条件
  6.6 多変数のGolden-Thompson型トレース不等式
  6.7 文献ノート

第7章 行列の平均とノルム不等式
  7.1 平均の例と一般ノルム比較定理
  7.2 行列の各種平均に関するノルム不等式
  7.3 文献ノート

第8章 単調計量と量子Fisher情報量
  8.1 Petzの単調計量
  8.2 量子Fisher情報量
  8.3 文献ノート

付録A いくつかの補遺
  A.1 Toeplitz-Hausdorffの定理の証明
  A.2 A∈Mn→Sp(A)の上半連続性
  A.3 定理5.15,5.17の証明
  A.4 α-z-Rényiダイバージェンスの性質
  A.5 トレース付きの積公式(6.39)の証明

参考文献
索引

サポート情報

次号の予告

書影

数理・情報系のための 整数論講義[増補第2版]

初版刊行から18年を経た今回の改訂では,より高度な整数論を学ぶ上で基礎となる重要な概念である,有限アーベル群の双対定理,群の集合への作用といった内容を追加し,代数学の内容の充実を図った.また,類体論の解説の拡充も行い,整数論を学ぶ上で必携の書となっている.

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