数理科学 2026年10月号

2006年度 日本数学会出版賞受賞
科学の最前線を紹介する月刊誌

自然科学と社会科学はいまどこまで研究されているか,つねに科学の最前線を明らかにし,大学・企業で注目を浴びている雑誌です.
毎月20日発売 B5判 約80ページ 定価(本体:954円+税)

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数理科学 2026年10月号 No.760

流れの物理と数理の拡がり

流体力学の多彩なかたち
定価:
1,049
(本体:954円+税)

発行月:2026年10月

JAN:4912054691065

在庫:在庫あり

内容詳細

連続体の物理として物質の流れを扱う流体力学は,物理の基礎理論から理工学における応用まで,様々な分野の研究と関連する重要な理論です.凝縮系・天体現象・生物学・核融合などと幅広く関連し,それぞれの分野で独特の発展を遂げるとともに,数学においては,流体運動を記述するナヴィエ・ストークス方程式の解の性質がミレニアム懸賞問題としても注目され,新しい研究が展開されています.本特集では,流体力学を中心とした流れの物理と数理について,最近の発展なども交え様々なトピックを取り上げていきます.

表紙CGコメント

今回の表紙は,双曲曲面を用いてモデリングしています.双曲曲面とは,各点での曲がり方を表すガウス曲率が負となる曲面で,平面や球面とは異なり,いたるところで鞍のように反り返る性質を持ちます.この負曲率ゆえに,面積を保ったまま広がろうとして縁が波打つのが特徴で,ひだのある編み物にもその構造が自然に表れます.今回の表紙では,この曲面を半透明な素材として表現することで,重なり合うひだの構造とその奥行きを可視化しています.(韓美喜・巴山竜来)

目次

特集

  • 巻頭言
    ~ 現代流体力学の拡がり ~
    山田道夫
  • 複雑な流れの力学
    後藤 晋
  • ナヴィエ-ストークス方程式が数学に与えた影響
    岡本 久
  • オイラー流
    ~ トポロジーと幾何学の交差点 ~
    福本康秀
  • 量子流体力学と量子乱流
    坪田 誠
  • 核融合研究における流体の数理
    ~ 古典場の非線形理論 ~
    吉田善章
  • 生物流体力学
    ~ 微小遊泳体の数理 ~
    石本健太
  • 惑星と恒星の流体力学
    竹広真一
  • 乱流現象に挑む機械学習とその数理
    犬伏正信

コラム

  • 流体力学方程式の最近の研究から
    大木谷耕司

『めくるめく数理の世界』から“こぼれた”こぼれ話

  • プラーハの想い出
    甘利俊一

連載

  • 冷却原子と開放量子多体系の物理 8
    ~ 冷却原子を用いた量子シミュレーション(4) ~
    中川大也
  • 量子集合論入門 13
    ~ 量子集合論におけるド・モルガンの法則 ~
    小澤正直

サポート情報

次号の予告

書影
数理科学 2026年11月号 No.761

確率的現象を描く方程式とその発展

物理学,AI,金融:応用数理への拡がり
身のまわりの自然現象から人間の営みに関することまで,様々な事象が微分方程式で記述されます.特に,液体中の花粉の不規則な運動の観察から見出されたブラウン運動は確率微分方程式へと発展して,それがもつ普遍性により,非平衡の物理や金融市場の価格変動の数理モデルへと展開し,また画像生成AIモデルの一つである拡散モデルの基盤となるなど,多様な拡がりを見せています.本特集では,物理学,金融・経済,生物学などにおけるランダムネスと関連の深い現象を記述する方程式に着目し,その発展に迫ります.

確率で世界を描くということ(齊藤圭司)/ランジュバン方程式 ― 古典力学と統計力学をつなぐ架け橋(A.デヒャント)/マスター方程式 ― マルコフ過程,量子開放系(布能謙)/KPZ方程式と普遍性 ― 界面成長から量子多体系まで(笹本智弘)/ゆらぐ流体方程式 ― 熱ゆらぎを取り込んだ流体記述と乱流への展開(田之上智宏)/ランダムネスと遅れの数理(大平徹)/確率過程を逆向きに解く ― 確率微分方程式から拡散モデルへ(広野雄士)/金融市場と長期記憶の確率過程 ― 市場マイクロストラクチャとLévyウォーク理論(金澤輝代士)/パンデミック拡大の数理 ― 伝播の予測と因果推論(西浦博)

関連雑誌