数理科学 2025年9月号

2006年度 日本数学会出版賞受賞
科学の最前線を紹介する月刊誌

自然科学と社会科学はいまどこまで研究されているか,つねに科学の最前線を明らかにし,大学・企業で注目を浴びている雑誌です.
毎月20日発売 B5判 約80ページ 定価(本体:954円+税)

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数理科学 2025年9月号 No.747

多彩な拡がりをもつ《層》の魅力

様々な数学概念の統一的理解に迫る
定価:
1,049
(本体:954円+税)

発行月:2025年9月

JAN:4910054690958

在庫:在庫あり

内容詳細

現代数学の随所に現れる層(sheaf)の理論は,数学における局所的見方と大域的見方をつなぐ言葉として,様々な分野を統一的に捉えることができる極めて重要な概念となっています.しかしながら,層の定義やその周辺理論は非常に抽象的であり,層の正体を捉えることは容易ではありません.本特集では,層のディテールを数理諸分野それぞれの視点から捉え,層の理論がどのような場面でどのように活躍するのか,そのメカニズムから多彩なトピックを取り上げ,層の魅力に迫ります.

表紙CGコメント

与えられた 3D 形状に対し,3 次元空間上の点から形状への符号付き距離を与えるスカラー場(Signed Distance Field)を構成すると,その勾配をとることで形状から放射状に広がるベクトル場を構成できます.ここでは先月号のマーブリングを使ってデザインした 3D 形状に対し,この手法で構成したベクトル場を使って,形状表面にランダムに撒いた点を動かしてモデリングしています.(土田甲人・巴山竜来)

目次

特集

  • 巻頭言
    戸田幸伸
  • 層理論入門
    ~ 定義や例,基本的な性質など ~
    平野雄貴
  • 代数幾何学と層
    大内元気
  • 複素幾何学と層
    松村慎一
  • 代数解析学と層
    ~ 佐藤超函数やD加群との関連 ~
    池 祐一
  • 超局所層理論入門
    桑垣 樹
  • 非可換代数幾何学
    大川新之介
  • 代数トポロジーと層
    増田成希
  • 数え上げ幾何学と層理論
    ~ DT理論からコホモロジー的DT理論へ ~
    金城 翼

書評

  • 測度距離空間の幾何学への招待
    ~ 高次元および無限次元空間へのアプローチ ~
    永野幸一
  • 重点解説 モンテカルロ法と準モンテカルロ法
    田中健一郎

研究室の窓

  • 私の研究遍歴
    山下公子

サポート情報

次号の予告

数理科学 2025年10月号 No.748

データの幾何学と機械学習

データの「近さ」や「繋がり」を捉える
近年著しい発展を遂げている機械学習技術の背後には,学習対象が持つ幾何学的構造に対する繊細な取扱いが潜んでいます.大規模な基盤モデルが存在するすべてのデータを学習に使い切りつつある今,さらなる機械学習技術の性能向上は,対象への深い理解による改良が欠かせません.また大規模データの学習は,対象がもつ構造をあぶり出し,ときには新しい知見を与えてもくれます.本特集では,データの幾何学と機械学習をキーワードに,関連する分野の研究を取り上げていきます.

<特集構成>巻頭言(松原崇)/データが持つ幾何学的性質と深層学習(松原崇)/幾何学的深層学習の分子・結晶解析への応用(谷合竜典)/幾何学的な表現学習(福水健次)/言語の表現空間の形(横井祥)/双曲埋め込みと潜在空間最適構成(山西健司)/群上の調和解析と深層ニューラルネット(園田翔)/幾何学的力学と深層学習(谷口隆晴)

関連雑誌

データの幾何学と機械学習

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《多様体》の探求

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使う数学,使える数学

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