素粒子多体系の物理

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近年,特に大学理工系の大学院の充実はめざましいものがあります.しかしながら学部上級課程や大学院課程の学術的なテキスト・参考書はきわめて少ないのが現状です.
本ライブラリは,これらの状況を踏まえて,数理科学諸分野および関連する領域から現代的なテーマやトピックスを順次とりあげ,時代の要請に応える魅力的なライブラリを構築しようとするものです.

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SGCライブラリ  207

素粒子多体系の物理

素粒子・原子核・物性の交差点から宇宙まで
定価:
2,970
(本体:2,700円+税)
難易度:中級

発行日:2026年4月25日

発行:サイエンス社

ISBN:978-4-7819-1665-1

サイズ:並製B5

ページ数:216ページ

在庫:在庫あり

内容詳細

素粒子物理と物性物理.両者は一見異なる方向性の物理学に見られがちであるが,素粒子の標準理論の真空を決めることさえ本質的には無限自由度の量子多体問題であり,たとえば,強い相互作用の基礎理論である量子色力学の真空では,クォークの閉じ込めなどの豊かな真空構造が現れる.本書では,素粒子・物性物理を横糸でつなぐことを目標に掲げ,(あるクラスの)多体現象を統一的に理解する道筋を示す.

目次

第1章 対称性と有効理論
  1.1 場の理論の準備
  1.2 対称性
  1.3 有効理論の考え方
  1.4 ゲージ対称性とゲージ理論
  1.5 高次対称性

第2章 対称性の破れ
  2.1 対称性の自発的破れ
  2.2 南部-ゴールドストーンの定理
  2.3 ヒッグス機構
  2.4 対称性の量子的破れ(量子異常)
  2.5 高次対称性の自発的破れ

第3章 フェルミオン多体系の理論
  3.1 ランダウのフェルミ液体論
  3.2 多体系の電磁応答
  3.3 BCS不安定性

第4章 素粒子の標準理論
  4.1 低エネルギー有効理論としての素粒子標準理論
  4.2 素粒子標準理論におけるヒッグス機構
  4.3 素粒子標準理論におけるアノマリー

第5章 量子色力学(QCD)の基礎
  5.1 QCDラグランジアン
  5.2 漸近的自由性:“媒質”としてのQCD真空
  5.3 カラーの閉じ込めとハドロン
  5.4 カイラル対称性とその自発的破れ
  5.5 軸性アノマリーとインスタントン
  5.6 南部-ヨナラシニオ(NJL)模型
  5.7 QCDの低エネルギー有効理論:カイラル摂動論

第6章 有限温度・有限密度QCDと相構造
  6.1 超高温・超高密度のQCD概観
  6.2 有限温度QCD
  6.3 核物質
  6.4 カラー超伝導
  6.5 符号問題のないQCDIやQCD型理論の相構造

第7章 相対論的流体力学
  7.1 低エネルギー有効理論としての流体力学
  7.2 相対論的流体力学の運動方程式
  7.3 流体のギャップレスモード

第8章 カイラル物質の理論
  8.1 カイラル輸送現象
  8.2 カイラル運動論
  8.3 カイラル流体力学
  8.4 カイラル物質の集団励起
  8.5 物性・宇宙物理におけるカイラル輸送現象

付録A 場の理論の基礎的事項
  A.1 調和振動子の量子化(ボソン・フェルミオン)
  A.2 場の理論のユークリッド化
  A.3 フェルミオン場とグラスマン数
  A.4 フィルツ変換 

参考文献
索引

サポート情報

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非平衡超伝導の物理

現代的な視点から理解する場の凝縮現象
近年,超伝導体を非平衡状態にすることで,ヒッグスモードとよばれる場の凝縮に起源を持つ現象が観測されている.また,平衡状態では実現しないような新しい超伝導相が非平衡状態において生み出せるのではないかという試みもある.本書では超伝導とは何かから説きおこし,超伝導体の非平衡状態が織りなす多彩な物理現象とその基礎理論について近年の研究の発展を踏まえて解説する.

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