数理科学 2025年8月号

2006年度 日本数学会出版賞受賞
科学の最前線を紹介する月刊誌

自然科学と社会科学はいまどこまで研究されているか,つねに科学の最前線を明らかにし,大学・企業で注目を浴びている雑誌です.
毎月20日発売 B5判 約80ページ 定価(本体:954円+税)

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数理科学 2025年8月号 No.746

格子ゲージ理論

50年の発展と拡がりに迫る
定価:
1,049
(本体:954円+税)

発行月:2025年8月

JAN:4910054690859

在庫:在庫あり

内容詳細

K.G.Wilsonが格子ゲージ理論を提唱してから,2024年で50年の節目を迎えました.場の量子論のダイナミクスを非摂動的に調べる手法の格子ゲージ理論は,素粒子物理学やその周辺分野に大きな影響をもたらし,特に格子QCDはクォークからハドロンの性質を理解する上で重要な役割を果たしています.本特集では,格子ゲージ理論の50年間の歴史を振り返るとともに,基礎的なことから,理論の広がりや応用などの新しい方向性と,今後解決されるべき同分野の未解決問題など,最新の研究動向まで紹介していきます.

表紙CGコメント

今回の表紙のモデリングでは,マーブリングの技法を使ってモデリングしました.マーブリングとは,水面に絵の具を垂らして模様を写し取る芸術的手法ですが,その平面上の数理モデルが知られています.今回の表紙ではその 3 次元空間拡張版を使い,絵の具に見立てた球をランダムに配置して,それらが互いを押し退け変形する様を距離関数を用いてシミュレーションしています.(土田甲人・巴山竜来)

目次

特集

  • 本特集のささやかな案内
    加堂大輔
  • 格子QCDの半世紀
    宇川 彰
  • 裸のクォークを見る
    ~ 格子ゲージ理論がもたらした素粒子標準模型の完成 ~
    橋本省二
  • QCDの相構造に迫る
    ~ 初期宇宙にQCD由来の相転移は起こるのか? ~
    青木保道
  • 格子QCDから核力を導く
    青木慎也
  • 格子理論におけるDirac演算子とトポロジー
    深谷英則
  • 動的単体分割のすゝめ
    佐藤勇貴
  • 格子上の超対称ゲージ理論からグラフ理論へ
    松浦 壮
  • 格子ゲージ理論と量子計算
    本多正純
  • 格子ゲージ理論の未解決問題
    ~ これからの半世紀 ~
    三角樹弘

書評

  • サイバーグ-ウィッテン方程式
    ~ ホモトピー論的手法を中心に ~
    今野北斗

連載

  • Lappo-Danilevskyを読む 9
    ~ 無限遠点における基本解行列 ~
    原岡喜重

サポート情報

次号の予告

数理科学 2025年9月号 No.747

多彩な拡がりをもつ《層》の魅力

様々な数学概念の統一的理解に迫る
現代数学の随所に現れる層(sheaf)の理論は,数学における局所的見方と大域的見方をつなぐ言葉として,様々な分野を統一的に捉えることができる極めて重要な概念となっています.しかしながら,層の定義やその周辺理論は非常に抽象的であり,層の正体を捉えることは容易ではありません.本特集では,層のディテールを数理諸分野それぞれの視点から捉え,層の理論がどのような場面でどのように活躍するのか,そのメカニズムから多彩なトピックを取り上げ,層の魅力に迫ります.

<特集構成>

巻頭言(戸田幸伸)/層理論入門 ― 定義や例,基本的な性質など(平野雄貴)/代数幾何学と層(大内元気)/複素幾何学と層(松村慎一)/代数解析学と層 ― 佐藤超函数やD加群との関連(池祐一)/超局所層理論入門(桑垣樹)/非可換代数幾何学(大川新之介)/代数トポロジーと層(増田成希)/数え上げ幾何学と層理論 ― DT理論からコホモロジー的DT理論へ(金城翼)

関連雑誌

量子物理の発展と未来

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