数理科学 2025年5月号

2006年度 日本数学会出版賞受賞
科学の最前線を紹介する月刊誌

自然科学と社会科学はいまどこまで研究されているか,つねに科学の最前線を明らかにし,大学・企業で注目を浴びている雑誌です.
毎月20日発売 B5判 約80ページ 定価(本体:954円+税)

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数理科学 2025年5月号 No.743

情報と物理学

エントロピーがつなぐ数理の世界
定価:
1,049
(本体:954円+税)

発行月:2025年5月

JAN:4910054690552

在庫:在庫あり

内容詳細

近年「情報」と物理学との関係に注目が集まっています.熱・統計力学と情報理論との関連から情報熱力学や情報統計力学という研究分野が発展し,また,量子力学の概念を取り入れた量子情報理論は,現代物理学の発展に大きく寄与しています.このような物理学と情報の橋渡しとしての役割を“エントロピー”という概念が担っています.本特集では,この“エントロピー”をキーワードに,物理学と情報がどのように関連しているのか,近年注目されているテーマを中心に迫っていきます.

表紙CGコメント

今回の表紙では Schwartz P 曲面と呼ばれる,3 次元空間にひろがる周期的曲面からつくりました.周期の長さが異なる Schwartz P 曲面の共通部分をとり,その形状からモデリングしています.(巴山竜来)

目次

特集

  • ミクロとマクロをつなぐエントロピー
    宮寺隆之
  • 情報理論とエントロピー
    ~ 符号化による“情報” の特徴付け ~
    小川朋宏
  • マクスウェルの悪魔
    ~ 情報と熱力学との結びつき ~
    布能 謙
  • ブラックホールとエントロピー
    ~ 熱力学・情報・ホログラフィー ~
    石橋明浩
  • 量子情報理論の基礎と発展
    ~ エントロピーに関わる概念を中心に ~
    林 正人
  • 量子統計力学と量子エントロピー
    ~ 無限系の観点から ~
    守屋 創
  • テンソルネットワークと情報圧縮
    ~ 量子多体系の粗視化,エンタングルメントエントロピー ~
    加堂大輔
  • ぽさを計る
    小暮兼三
  • 生命と情報とエントロピー
    上村 淳

研究室の窓

  • 特異点の研究と教育
    伊藤由佳理
  • 確率と波動の交差点
    ~ ランダム性がもたらす新たな数学の可能性 ~
    福泉麗佳

サポート情報

次号の予告

数理科学 2025年6月号 No.744

物理学と特殊関数

いかに現象は記述されるか
ガンマ関数やベッセル関数をはじめとする特殊関数は,物理学で登場する様々な現象を解析する際の重要な道具となります.しかしながら,大学での講義では簡単な説明にとどまることも多く,物理と特殊関数の結びつきの十分な理解が得られないことも少なくありません.本特集では,様々な特殊関数を題材に,基礎的なことから発展的なことまで,教科書や授業では取り上げられないような一歩進んだことについても触れながら解説し,物理を学ぶうえでの特殊関数の重要性について迫っていきます.

<特集構成>

巻頭言(伊藤克司)/物理でいかに特殊関数が使われるか ― 特徴,役割,なぜ必要?(松尾泰)/ガンマ関数はいかに使われるか ― いたるところに現れる働き者 (今村洋介)/ベッセル関数と物理現象(佐藤勇二)/楕円関数 ― 物理,可積分模型への応用(武部尚志)/エルミート関数と調和振動子(酒井忠勝)/直交多項式と特殊関数(佐々木隆)/水素原子の量子力学と球面調和関数( 山口哲)/Mathieu方程式とその応用 ― 現代の理論物理学との意外なつながり(初田泰之)/ゼータ関数 ― 繰り込み,弦の臨界次元,量子カオス,ランダム行列(西垣真祐)

関連雑誌

物理学と特殊関数

1,049円(税込)

量子力学の軌跡

1,049円(税込)